P値とは(後編)

はじめに

こんにちは。前回はP値についての定義を触れた記事を作成しました。

今回の記事は主に2016年にアメリカ統計協会から出された「P値に関する声明」をもとに、P値についての原則についてまとめてみました。

P値の原則

①P値はデータと特定の統計モデルが矛盾する程度を示す指標の一つである。

前回の記事でも触れましたが、P値はある統計モデルが矛盾する程度を示しています。
帰無仮説は、その統計モデルの仮定の内の一つに過ぎず、P値が小さいからと言って、帰無仮説の矛盾の程度が大きいとは言えません。

②P値は、調べている仮説が正しい確率や、データが偶然のみで得られた確率を測るものではない

仮説は正しいか、正しくないかの二つに一つです。
どれくらい正しいかという確率的な表現は出来ません。

③化学的な結論や、ビジネス、政策における決定は、P値がある値を超えたかどうかにのみ基づくべきではない

P値が0.051と0.049でどれだけの違いがあるのでしょうか。
仮説や研究デザインなどがやはり重要です。

④適切な推測のためには、全てを報告する透明性が必要である

実際に研究を行った人ならばギクリとするかもしれませんが、都合の良い結果のみ報告したくなった経験はありませんか?
データの選択基準や、統計解析の手法など全てを開示することが必要です。

⑤P値や統計的有意性は、効果の大きさや結果の重要性を意味しない

統計学的有意であることと、科学的に意味があることは同じではありません。
P値はサンプルサイズ次第でどうとでもなり、臨床的に意味のない差でもサンプルサイズが大きければ、P値は小さくなります。

⑥P値は、それだけでは統計モデルや仮説に関するエビデンスの、よい指標とはならない

P値が大きくても、帰無仮説が正しいという根拠にはなりません。
先ほどの逆の話で、サンプルサイズを小さくすれば、P値は大きくなってしまいます。
適切に推測出来ているとは言い難いでしょう。

まとめ

今回はP値に関する声明を紹介してみました。P値を妄信するなと言われている意味が分かってきたでしょうか。気になることがあれば、原文に当たってみて下さい。

また次回!

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